市民公開講座
市民公開講座
Public Lectures
年に2回、上期と下期にそれぞれ数回ずつ行われる公開講座です。参加は自由、受講料は無料です。
令和7年度 下期市民公開講座のご案内
統一テーマ:
「不確かな時代を生きる人間像―文学からみる運命、抵抗、そして再生」
概要
-
- ■期日
- 2025年11月5日(水)~11月26日(水)の毎週水曜日
- ■時間
- 18時15分~19時45分
- ■会場
- 日本大学国際関係学部三島駅北口校舎
- ■申込方法
- グーグルフォームによる申込もしくは、申込書に必要事項を記入の上、郵送・FAX・メールのいずれかの方法でお申し込みください。
グーグルフォームによる申し込みはコチラから- ※ 注)グーグルフォームで申し込んだ場合はこちらの紙での申し込みは必要ありません。
- ※ 本学学生は直接会場へお越しください。
(事前の申し込みは不要です)
- ■問い合わせ先
- 日本大学国際関係学部 研究事務課 市民公開講座係
TEL 055-980-0808
FAX 055-980-0879
Mail ir-kouza3@nihon-u.ac.jp
- ■申込期日
- 各開講日の2日前まで
- ■注意事項
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- 講師の病気、悪天候等やむを得ない事情により、講座を延期または中止することがあります。
- 受講許可の通知はいたしませんので、当日、直接会場にお越しください。
- 万一の場合(休講など)の連絡をいたしますので、「申込書」には住所・電話番号を必ずご記入願います。
- 本校では車・バイクの乗り入れはできません。徒歩または電車・バス等の公共交通機関をご利用ください。
講座の日程と内容
統一テーマ:「不確かな時代を生きる人間像―文学からみる運命、抵抗、そして再生」
- 第
1回 -
11月5日(水)
講師 日本大学国際関係学部 准教授 笹生 美貴子 演題 光源氏の挫折と栄光―貴種流離譚の視点から見えてくるもの―
- 第
2回 -
11月12日(水)
講師 日本大学国際関係学部 准教授 杉本 宏昭 演題 ハーディ文学にみる人間像―運命と抵抗, そして再生(?)
- 第
3回 -
11月19日(水)
講師 日本大学国際関係学部 特任教授 安元 隆子 演題 金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』を読む―運命からの脱却と人間の絶対平等を求めて―
- 第
4回 -
11月26日(水)
講師 日本大学国際関係学部 教授 芳賀 理彦 演題 村上春樹『1Q84』の達成と限界
第1回 11月5日(水)
「光源氏の挫折と栄光―貴種流離譚の視点から見えてくるもの―」笹生 美貴子
今から1000年程前に書かれた『源氏物語』は、現在ではドラマや映画、英訳をはじめとした翻訳書も多く刊行されており、世界中の人々に親しまれています。
本講演では、王権という視点から『源氏物語』を読み解きます。主に、窮地に陥った光源氏が、自ら官位を返上して須磨へと退居し、再び都へと戻る場面(「須磨」「明石」巻)を取り上げます。そこには、菅原道真など、左遷を余儀なくされた人物達の思いが光源氏に重ねられてもいるのです。不遇の光源氏がいかに政治の世界へと返り咲くのか、「物語の力学」についても注目しつつ考えます。第2回 11月12日(水)
「ハーディ文学にみる人間像―運命と抵抗, そして再生(?)」杉本 宏昭
ヴィクトリア朝(1837-1901)は、イギリスの歴史において最も国が発展した時代の一つであった。小説においては、その発展と繁栄を担う人々の考え方・生き方が写し出された。しかしこれだけ長いヴィクトリア女王の治世、時代は当然変化し、小説も様々なジャンルが出現する。ヴィクトリア朝後期にもなると、いわゆる「暗い」小説が目立つようになる。トマス・ハーディ(Thomas Hardy 1840-1928)はヴィクトリア朝中期から後期にかけて作家活動をし、その作風は時代に対し次第に痛烈になりまた暗くなる。しかしこの痛烈さと暗さが、世界とは、時代とは、人間とは、運命とは何か、そして人が生きることとは何か、という数々の問題を我々に考えさせる。本講座ではヴィクトリア朝時代とハーディ文学を紹介する。皆さんにとってこの講座が何かの「考えるヒント」になればありがたい。
第3回 11月19日(水)
「金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』を読む―運命からの脱却と人間の絶対平等を求めて―」安元 隆子
金子文子は幼少時、無戸籍者故に正規教育を受けられず、放埓な両親の下で辛酸を舐め、養子先の朝鮮の祖母の家でも人間扱いされませんでした。死の淵から蘇生した文子は「私自身」を生きることを目指し、苦学をしながら同志の朴烈と活動します。関東大震災の際、保護検束され大逆罪のかどで死刑宣告を受けた後に無期懲役となりますが、文子は自死を遂げました。文子が自己を見つめて執筆した獄中手記と裁判記録から、文子の運命からの脱却と「人間の絶対平等」の思想について考えます。
第4回 11月26日(水)
「村上春樹『1Q84』の達成と限界」芳賀 理彦
村上春樹さんの小説『1Q84』は、パラレルワールドに入り込んでしまった主人公二人が、それぞれ自らの「運命」に「抵抗」し、そして「再生」を目指す物語です。村上さんは常にローカルかつグローバルな視点で、現代の世界の構造を作品に反映させ、時には未来を予言するような物語を作り上げてきました。しかしそれではもう描ききれない時代を我々は迎えようとしています。本講演では、村上春樹という作家が文学において達成してきたものとその限界について考えます。